【中小企業】「あのコピペ作業、もうやめたい…」複数のツールを連携させて営業チームのルーチン業務を自動化する方法
中小企業の営業チームリーダーとして、日々の業務に追われ、もっと重要な顧客対応や戦略立案に時間が割けないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、複数のシステムやツール間でデータを移動させたり、同じ情報を何度も入力したりする「ルーチン業務」は、時間を大きく消耗し、非効率の原因となります。
このような「あのコピペ作業、もうやめたい…」と感じるルーチン業務は、複数のツールを連携させることで自動化し、大幅に削減することが可能です。
営業チームの非効率なルーチン業務とは
まず、中小企業の営業チームでよく見られる、非効率を生むルーチン業務の例をいくつかご紹介します。
- 問い合わせ対応と顧客管理: Webサイトの問い合わせフォームから受け取った情報を、手作業でSFA/CRMに転記する。
- タスク管理と情報伝達: メールで依頼された内容を、改めてタスク管理ツールに登録し、チームチャットで共有する。
- 報告書作成: SFAに入力した営業活動履歴や、スプレッドシートにまとめた数値を、週報・月報のフォーマットに転記する。
- 顧客フォロー: 新規顧客リストが更新されたら、個別にお礼のメールを作成・送信する。
- 情報収集と共有: 特定のWebサイトやSNSで収集した情報を、社内向けの情報共有ツールやチャットにコピペして共有する。
これらの作業は一つ一つは短時間かもしれませんが、積み重なるとかなりの時間を費やし、さらに手作業による入力ミスや転記漏れのリスクも伴います。
解決策:複数のツールを「連携」させて自動化する
これらのルーチン業務を効率化し、自動化するための有効な手段が「ツールの連携」です。これは、異なるアプリケーションやサービス同士を結びつけ、「あるツールで特定の出来事(トリガー)が起きたら、別のツールで決められた動作(アクション)を自動的に実行する」という仕組みを構築することです。
例えば、先ほどの例で考えてみましょう。
- 問い合わせ対応の自動化: 問い合わせフォームへの入力(トリガー)があったら、自動でSFA/CRMに新規リードとして登録し(アクション)、チームのチャットツールに通知を送る(別のアクション)。
- タスク登録・共有の自動化: 特定の形式のメールを受信したら(トリガー)、メール本文の内容を基にタスク管理ツールに自動でタスクを登録し(アクション)、担当者へチャットで通知する(別のアクション)。
- 報告書作成の効率化: SFAのデータが更新されたら(トリガー)、自動的にスプレッドシートにそのデータを追記する(アクション)。これにより、報告書作成時のデータ集約の手間を減らせます。
このように、ツール連携を活用すれば、これまで手作業で行っていた「つなぎ」の作業を自動化し、時間を創出することができます。
営業チーム向けツール連携自動化の具体的な活用例
ツール連携による自動化は、営業チームの様々な業務で応用可能です。いくつか具体的な活用例をご紹介します。
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見込み顧客情報の自動登録と通知:
トリガー
: Webサイトの資料請求フォームに新しい入力があったアクション
: SFA/CRMに新しいリードとして自動登録、担当営業にチャットツールで自動通知効果
: リード対応までの時間を短縮し、取りこぼしを防ぐ
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顧客からの問い合わせ内容の自動分類と担当割り当て:
トリガー
: 特定のメールアドレスにメールが届いたアクション
: メール本文の内容を分析し(特定のキーワードなど)、担当者を判別。タスク管理ツールに担当者と内容を記載したタスクを自動登録。効果
: 問い合わせ対応の初動を迅速化し、属人化を防ぐ
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営業活動報告の自動化:
トリガー
: SFAで「商談成立」にステータスが変更されたアクション
: 契約内容や顧客情報を基に、社内報告用のスプレッドシートや共有ドキュメントに自動で追記。効果
: 報告書作成の手間を削減し、最新情報をリアルタイムに共有
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顧客フォローメールの自動送信:
トリガー
: SFAで顧客情報に特定の日付(例:サービス利用開始日)が入力されたアクション
: メール配信ツールと連携し、あらかじめ作成しておいたお礼メールや活用ガイドメールを自動送信。効果
: 顧客との関係構築を自動化し、フォロー漏れを防ぐ
これらの例は一部ですが、自社の営業チームで行っているルーチン業務を洗い出し、「どのような情報が、どのツールから別のどのツールへ渡されているか」を整理することで、自動化できる箇所を見つけ出すことができます。
ツール連携自動化ツールの選び方【中小企業向け】
ツール連携による自動化を実現するためのツール(連携プラットフォームやiPaaSなどと呼ばれます)を選ぶ際のポイントを、IT知識があまりない方でも理解できるようご紹介します。
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連携したいツールに対応しているか:
- 最も重要です。現在自社で使っている、または今後導入を検討しているSFA/CRM、チャットツール、メールツール、ストレージサービス、表計算ツールなどが、その連携ツールに対応しているかを確認してください。多くのツールに対応しているものが汎用性が高いと言えます。
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使いやすさ(設定のしやすさ):
- 専門的なプログラミング知識がなくても、画面上で視覚的に連携設定を組める「ノーコード/ローコード」のツールがおすすめです。「トリガー」と「アクション」を選んで、それぞれ必要な項目を設定するだけで自動化の仕組みが作れるものが理想的です。無料トライアルなどを活用し、実際に設定画面を触ってみると良いでしょう。
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料金体系:
- 中小企業にとって導入コストや運用コストは重要です。無料プランがあるか、有料プランの料金は自社の予算に見合うか、自動化の実行回数や連携できるツール数などで料金が変わるかなどを確認しましょう。まずは無料プランや低価格のプランから始めてみるのも良い方法です。
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サポート体制:
- 導入時や設定中に不明点があった際に、日本語でのサポートが受けられるかどうかも考慮に入れると安心です。オンラインマニュアルやFAQが充実しているかも確認ポイントです。
導入を検討する際のステップ
ツール連携による自動化を導入する際は、いきなり大規模な仕組みを作るのではなく、以下のステップで進めることをおすすめします。
- 課題の洗い出し: 営業チーム内で「時間がかかっている」「手作業が多い」「ミスが発生しやすい」といったルーチン業務を具体的にリストアップする。
- 自動化箇所の特定: 洗い出した業務の中から、ツール連携で自動化できそうなもの、特に自動化の効果が大きそうなものを選ぶ。
- 必要なツール(連携ツール)の選定: 上記の選び方ポイントを参考に、自社の課題解決に適した連携ツールを選定する。無料トライアルなどを活用して、いくつか比較検討する。
- 小さく始める: 選定したツールで、簡単な一つのルーチン業務の自動化から試してみる。
- 効果測定と展開: 自動化による効果(時間短縮、ミス削減など)を確認し、問題なければ他のルーチン業務にも展開していく。
- チームへの共有: 自動化の仕組みや効果をチーム内で共有し、皆がその恩恵を受けられるようにする。
上司に導入を提案する際は、「このツール連携による自動化で、週に〇時間かかるこの作業が不要になり、その分、顧客対応に時間を充てられます」「手作業によるミスが減り、顧客満足度向上や機会損失防止につながります」といった具体的な効果を数字や事例を交えて説明すると、理解を得やすくなるでしょう。
まとめ
中小企業の営業チームが抱える「ルーチン業務による時間の浪費」という課題は、複数のツールを連携させることで効果的に解決できます。手作業やコピペといった非効率な作業を自動化することで、営業担当者は本来の業務に集中でき、生産性向上、人的ミスの削減、そしてチーム全体の効率アップを実現できます。
IT知識があまりない方でも扱いやすいノーコード/ローコードの連携ツールも増えています。まずは無料トライアルなどを活用し、自社の業務でどのような自動化が可能か、どのような効果が期待できるかを確認してみてはいかがでしょうか。ツール連携による自動化は、中小企業のDX推進の一歩として、非常に有効な手段と言えます。